FC2ブログ

記事一覧

映画『脳天パラダイス』町田康、旧知の仲である鬼才・山本政志監督を文学的に大絶賛

【イベント】
12 月 5 日、都内にて映画『脳天パラダイス』のトークイベントが行われ、山本政志監督、いとうせいこうに加え、二人と親交が深く、今回パンフレットに寄稿もした町田康が登壇。映画『脳天パラダイス』いとうせいこうと「ロビンソンの庭」「熊楠 KUMAGUSU」など山本作品へも出演の町田康によるレアな組み合わせが実現した。




映画上映後、フライング気味に登場した 3 人。映画の感想を聞かれた町田は早速「詳しことはパンフレットに!」といきなり身もふ たもないことを言って、会場の笑いを誘う。 町田は、「映画や小説や物語においては、人間はいろんなことに理由を求めてしまう。でも僕らの頭の中ってそう簡単に理屈で説明がつかないんです。なんでこんなことしてるんだろう、あの時なぜあんなことしたんだろう、という‟裂け目”みたいなところが、日常にたくさんあるのだけれど、なかなか映画や小説では表現しづらいんです。それを不思議や不条理と表現することはあるけど、それで片付けることなく、感覚的に納得できるものを表現しているのがこの映画の素晴らしいところなんです。この映画の思想やあり方にものすごく深い感動と共感を覚えました。」と絶賛。


いとうが「町田さんと山本監督は古い仲なのに、パンフレットに町田さんが絶賛の記事を書いたことで監督が褒められすぎて、恥ずかしくて電話ができないというから今日の場を設けたんですよ!」と伝えると、山本監督は「そうなんだよね、超久々に会ってるんだけ ど、パンフレットのことでお礼をいうのか!?と自問自答して」と照れ隠し。素直にお礼を言ってしまえばいいといとうさんに突っ込まれながらも喜びを隠せない様子。また話は「ロビンソンの庭」に出演されていた町田さんとのエピソード話になり、山本監督の演出の付け方についていとうから聞かれると、町田からは「自身が教えるために演技をしながらだんだんと自分の世界に入っていき、最終的に『これは違う』という結論になるんですよね」と、見たことのない演技指導法(!?)を披露。


いとうは、「脳天パラダイス」のクランクイン前に町田に「山本監督って怖い人ですか?と恐る恐る聞いたところ、町田からは『あの人はどうしようもない人ですよ!』と聞いてますます怖くなりました」と笑った。 今回の新作をみて、町田は「山本さんは成長した!映画を撮るのが上手くなった!僕がいうことじゃないけど」と笑いを誘 った。さらに町田が、「いとうさんの演技がとても好きでした」と言うと、いとうはそれに対して「監督の演出はまずやって見てから始まる。それでオッケーだったから終始自然体でできました。それでも若干力が入っちゃうときは、『もうちょっといい加減な方がいいんじゃない』と色々調整してくれた感じです」と語ると、町田が「昔からそうだったかも。ガチガチに決めないで、まずはやってみて、と。動きもそんな に縛られないし。僕ら俳優さんじゃないので、とりあえず自由にやらせてもらって監督側で調節してもらっていた感じです。」と語る。


山本は「形に入れるとつまらないもんね。出演者が生き生きするのが一番いい。あんまり決めちゃうと面白くないんだよね。場ミリが嫌いでさー、なんでここでこのセリフを喋らないといけないの?って思うよね」と自然体を重視する山本に、いとうは「確かに、あんまりそういうことを気にせず自然にやれましたね。そういう意味ではライブをとるドキュメンタリー的な感覚はありました。山本監督は音楽 的感覚なんだろうなと。」山本は、「なかなか最初からガチガチに決めるのがどうも合わないんだよね。映画の形は残るんだけど、そこに映る人間の生き生きとした感じを出したいんだよね。言われて歩くのかそうじゃないのか」。それに対して、ライブ感という話題から 山本監督の演出で感動したエピソードを町田が披露「ある俳優さんが来てきた服を着替えてきてシーンが繋がらないとなった時に、早く着替えるやつという設定にすればいいじゃん、という俳優さんの提案をそのまま受け入れたということもありましたね」と、自由さとその場のノリというライブ感を重視した山本監督の演出を絶賛していた。


さらに町田は音楽とダンスシーンについても「2種類の音楽、ダンスが出てくるところが素晴らしい。」と絶賛。「盆踊りのシーンも、前半スタイリッシュなダンスと、後半そうではなく解放されて自由に踊るシーンが、先ほど行った理屈じゃない、人間の亀裂を飛び越える感じを感覚的に表現されているな」と感じたという。山本は、盆踊りのシーンは自身でハンディカムを回しながらその臨場感が伝わってきたそう。3 人のよもやま話はまだまだ終わりそうになかったが、いとうせいこう、町田康と、山本監督作品に出演した俳優たち同士が監督を囲んで語る映画論に聴衆も大喜びの1日だった。
 
出演:南果歩 いとうせいこう 田本清嵐 小川未祐 玄理 村上淳 古田新太 柄本明 ほか
監督:山本政志 脚本:金子鈴幸、山本政志
企画:シネマインパクト、C・C・P 協賛:高見庭苑 配給:TOCANA
製作協力:UNIVA Guangzhou Trading
製作:パンクチュアルカルチャー 大江戸美術 
©︎2020 Continental Circus Pictures 公式 HP:http://no-ten.com
2020年11月20日(金)より全国公開中
関連記事

プロフィール

moviecore

Author:moviecore
Webメディア:ムービーコアは映画を中心に繋がる、アニメ・お笑い・音楽・ファッション・スポーツとエンターテイメントなイベントをリポート!ニュースも掲載しております。イベント取材・試写会・ニュース掲載は こちら moviecore2@gmail.com 編集部にご連絡ください。

最新記事

カテゴリ