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ドキュメンタリー映画 『森のムラブリ インドシナ最後の狩猟民』名越康文ら各界の著名人より推薦コメントが到着

【ニュース】
インドシナ半島の密林におけるサステナブルで、政府からも自由なアナーキーな生き方を見つめることで、文明社会で暮らす私たちにも、「真に重要なことは何か」が見えてくる。カナダ北部で暮らすイヌイットの文化・習俗を記録した 1922 年の映画史上初のドキュメンタリー映画『極北のナヌーク』から 100 年、日本発の映像人類学のドキュメンタリーとして、シアター・イメージフォーラムにて 3 月 19 日(土)の公開を前に、各界の著名人推薦コメントが届いた。





今福龍太(文化人類学者)コメント
いかなる外形的な財も持たぬ民。そのなにもない移動生活から発散される、おどろくべき無形の富を発見せよ。

甲野善紀(武術研究者)コメント
この映画を見て何よりも思ったことは、「文明は人々を幸せにしたか」ということ。
幕末から明治にかけて日本に来た西欧人が日本の印象を書いた多くの紀行文や感想文をま とめて考察した『逝きし世の面影』(渡辺京二著)には、日本の村の美しさや、人々が幸せ そうにしている驚きが数多く記されている。そして、同時に、この幸せな国にやがて西欧文明が入ってくることで、この美しく幸せな風景が失われていくことを予感し、嘆いている記 述が紹介されている。
その事が、この映画を観てあらためて思い出された。昔の環境が失われていようと、とにかく人は生きていかなければならない。新しく入ってきた文明と森の生活と、それをどう折り合いをつけて生きるか、今は人それぞれ、とにかくその日その日を生きているようだ。
私の個人的印象としては、映画に出ている人物の鉈の使い方が決して上手ではなく、この森 の生活と文明との折衷を、どこに置き、どう生きていくのかの迷いが、そこに象徴されているように思えた。


名越康文(精神科医)コメント
この映像は本当に不思議である。だからあまり解説をしたくない気分に苛まれる。
現代人の側からみれば、彼らの日常には何の創造性もない。ところが見ている私に、こんなにも大きな充足を与えるのだ。こういうと、きっと近代精神の文脈は懐古趣味とか自然回帰願望ととらえるだろう。しかしそれは根本的に違う。要するに彼らには空虚が無いのだ。我々はあらゆる便利さを手に入れた結果、暇(空虚)を作ったにもかかわらず、今度はその暇を埋めることに必死になり、更には他人と様々なことがらを見比べまでして憔悴している。
ただそれだけのことなのだ。生きられる時間を何で埋めるか。我々は彼らに比べて、その事に多分に強迫的であるだけで、未だに何ら主体的ではないのだ。


光岡英稔(武術家/武術研究家/国際武学研究会代表)
自然に従うことに選択肢はない。そのことが体感覚としてあるが故の諦めと、彼らのやる気 のなさに可能性を感じさせてもらった。


金子遊 監督作品
出演:伊藤雄馬 パー ロン カムノイ リー ルン ナンノイ ミー ブン ドーイプラ イワン村の人びと フアイヤク村の人びと
撮影・編集:金子遊 現地コーディネーター・字幕翻訳:伊藤雄馬 パブリシスト:登山里紗 デザイン:三好遙 WEBデザイン:古谷里美 製作:幻視社 配給:オムロ 幻視社 協力:多摩美術大学芸術人類学研究所、京都大学東南アジア地域研究研究所
2019 年/85 分/ムラブリ語、タイ語、北タイ語、ラオス語、日本語/カラー/デジタル 
©幻視社
3 月 19 日(土)よりシアター・イメージフォーラムほか全国順次公開

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