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『第31回日本映画批評家大賞』授賞式

監督賞を受賞した大友啓史監督

【イベント】
『第 31 回日本映画批評家大賞』授賞式が東京国際フォーラムにて 5 月 30 日に有観客で開催された。日本映画批評家大賞は、映画界を励ます目的のもと、現役の映画批評家が集まって実行するもので、1991 年に水野晴郎が発起人となり、淀川長治、小森和子ら当時第一線で活躍していた現役の映画批評家たちの提唱により誕生。2021年公開作品から批評家による批評家だけの目で選んだ他に類を見ない賞となっている。

『第 31 回 日本映画批評家大賞』では、作品賞を濱口⻯介監督作品『偶然と想像』が受賞し、監督賞を大友啓史監督作品『るろうに剣心 最終章 THE FINAL』『るろうに剣心 最終章 THE BEGINNING』で受賞。『ベイビーわるきゅーれ』では新人監督賞、新人女優賞(小森和子賞)とW受賞となった。

授賞式の司会は笠井信輔アナウンサー、政井マヤアナウンサーが務めた。



『ベイビーわるきゅーれ』で新人監督賞を受賞し、登壇した阪元裕吾監督はトロフィーを手に満面の笑みで、「自分はこういう賞とは無縁の人間でアクションやったり、ホラーやったり、ちょっとグロイ映画だったり、そういう映画ばっかり撮って生きていくんだろうなと思ってたんで、こういう賞をもらわずにやっていくんだろうなと、うっすら思ってたんですけども、実際本当にいただけて、いやもう今はほんまに嬉しいですよね、本当にありがとうございます。」と喜びいっぱいのコメント。

さらに続け、「もう6年7年ぐらいは撮ってるんですけども、結構ずっと同じような映画、同じような点もキャストも設定も全然変わってるんですけども、根っこは同じちょっとおかしな社会的な方がアクションをやるみたいなのを、結構大学の頃からずっと撮ってまして、それをもう懲りずにずっとやり続けた結果が、もう今のこういう賞に繋がるなと思ってて、皆さんもと言って偉そうですけども、何か一歩やり遂げることの大事さみたいなのをちょっと思いましたね。監督って演出家とはみたいな話をいきなりここでするのもあれなんですけども、なんか、結局俺はスタッフさんやったり、キャストさんの何かを引き出すことしかできないっていうか、実際に僕が何かカメラを構えて何かやるってわけでもないんで、それを引き出すのが自分の仕事だと思ってるんです。」と、自身の役割を吐露。


「スタントパフォーマーの伊澤彩織さんが、(新人女優)賞を取ったり、また髙石あかりやいろんな全てのスタッフの皆さんのその力を僕が引き出して力を借りてこのような映画を撮ることができました。本当に関わってくれた皆さんに、本当に感謝したいです。」と感謝を述べ、新人女優賞(小森和子賞)を受賞した伊澤彩織へ「いやぁ良かったっすね!」とメッセージを贈った。



そして『ベイビーわるきゅーれ』で新人女優賞(小森和子賞)を受賞した伊澤彩織が登壇。「本当に素敵な光栄な賞をいただきまずはこの『ベイビーわるきゅーれ』という映画に関わった制作スタッフと、アクションの先輩方とアクション監督の園村さん。そして支えてくれた家族と友人に…すいません。感謝を伝えたいなと思います。」と感極まる場面も。

伊澤は「『ベイビーわるきゅーれ』という映画で、阪元裕吾監督は新人監督賞と(新人女優賞)ダブル受賞と本当に素敵なことになって、しかも私は 20歳の頃に、アクション部という映画の関わり方を知り、スタントマン、スタントパフォーマーとして映画に関わってきた人間なので、まさか今日、スポットライトにあたる日が来るとは夢にも思っていなかったので、本当に幸せです。」と喜びを綴った。
「アクション部の先輩方と、アクション監督の方々に、20歳頃から 8 年間、スタッフの技術やいろんな撮影現場の経験を学ばせていただいて、本当に私個人の力というのは本当にあまりないと自分では思ってるんですが、本当にいろんな人に支えられて、ここまで来れたので、もう感謝でいっぱいです。これからもメイドインジャパンのかっこいいアクションシーンの一部になれるよう日々鍛錬していきたいと思います。ありがとうございました。」と、自身の学びと支えとなった方々に感謝を伝えていた。

そんな伊澤の憧れ目標にしている女優について聞かれると、「ちょっとアクション系じゃないんですけどっていうか、私が目標っていうのもちょっとおこがましいぐらいなんですけど、オードリーヘプバーンに憧れてます。」と明かしてくれた。


他の新人女優賞(小森和子賞)を受賞した受賞者からのコメントも写真と共に紹介する。



『猿楽町で会いましょう』で新人女優賞(小森和子賞)を受賞した石川瑠華コメント
ちゃんとトロフィーがあって初めて実感してます。私自身いただいた役に何度も苦しめられて、また同じぐらい救われてきました。そんな大切な映画で、小森和子さん名前のついた素敵な賞をいただけたこととても嬉しく思います。




『サマーフィルムにのって』で新人女優賞(小森和子賞)受賞した伊藤万理華コメント
本当に素敵な賞をありがとうございます。『サマーフィルムにのって』は 本当に学生が映画に対してその好きな夢が作るものへの情熱を向けて本当に映画作りに励む作品だったので、そんな映画がこういうふうにたくさんの方に、見てもらえるようになったことが、本当に嬉しく思っているし、何より脚本家の三浦さんだったり、監督の松本さんが、一番作りたかった。映画愛にあふれた映画をみんなと何か作ろうって思ってくれたのがすごく嬉しかったので、早く報告したいなと思います。

私は結構(乃木坂46)グループ時代から映像作品だったり、そういう演出に対してグループ自体もすごく実験的なことをやられてて、まだ当時若手だった監督とクリエイターの皆さんといろいろ組んでショートフィルムを撮ったりしてて、その頃から自分は いつか映像作品に関わりたいと思ってたので、今こうしてこういう場所に立つっていうのはすごく夢のようなんです。今こういう場所に関われてるのは、グループにいたからだし、すごくそれは必然的なものだと思っています。まだ映画を見ていない方には『サマーフィルムにのって』を見て時代劇を見て映画の歴史を楽しんでいただきたいです。





『いとみち』で新人女優賞(小森和子賞)受賞した⻄川洋子コメント
16才の時に三味線奏者のところに弟子として入門。その後三味線で『いとみち』という映画に参加させてもらうことになりました。正直、こんなすごいものだろうと思ってませんでした。ところが、驚いたことに新人賞。今挨拶をしていた皆様方が私の孫のような存在の人たちです。その中に交えていただいています。凄い緊張してるんですが、でも嬉しく思って舞い上がってます。私は正直言うとこの役引き受ければよかったと、ずっと思ってました。でも、日にちが過ぎて現場に行くと、現場そのものが丸ごと津軽で、少しずつ少しずつ気持ちがおさまってきて、おばあちゃんの歩き方っていうのはどうなんだろう、、、私もばあちゃんなんですが、農家の人の仕事の仕方など何だろうっていう好奇心があって、ちょっと見に行ったりしてね。若干町の中で育ったもので、そしてその映画を見たとき、正直なところ、自分で出てるんですが涙が出ました。凄い思い出を作ってもらって、この賞に感謝をしながら、ずっとずっと長い間私に携わってくださった皆様方にも、感謝したいと思います。 本当にありがとうございました。







『るろうに剣心 最終章 THE FINAL』『るろうに剣心 最終章 THE BEGINNING』2作品での監督賞受賞となった大友啓史監督はトロフィーを手に「このような賞をいただきましてありがとうございます。去年、この映画が公開されたときに苦しい思いをしたんです。コロナ禍で。そのときに観客の皆さんがものすごくこの映画を支えてくださって、本当に映画っていうのは、観客によって育てられるものだということを改めて思いました。なかなかそれですっきりしない気持ちのままいたんだけど最後にこうやって批評家の皆さんに評価していただけたということで、私の中で何かこの 10 年のいろんな思いが報われたような思いでおります。」と喜びを露わにしていた。


「もう一つ、僕の誇りはこの 10年間本当にスタッフキャストほぼ同じスタッフで全部走り切れたこと。活劇というものをもう一度それを日本映画に取り戻したいというと大げさですけれども、活劇の復活というのを旗印にして、なかなか日本映画では突破できなかったことをスタッフキャストの知恵と工夫で乗り越え、映画から僕は小さい頃感じていたようなまさに俳優のですね、なんていうかな、あのほとばしるような感情とかスタッフの方届けたいというようなエネルギーや想いがですねストレートにお客さんに伝わるようなそういう映画を作りたい、中学生の頃の自分に向けて、なんとかそういう映画をイメージして作りました。本当に今回の賞は嬉しく思います。スタッフ、キャストのみんなとですね、その力があってのものだと思います。改めてありがとうございました。」と感謝を口にし、喜びを噛み締めていた。

また司会の笠井から「日本のアクションを大きく引き上げた作品は、『るろうに剣心』だと思うんですけれども、その何か成功の要因といいましょうか、突破力 源はどこにあったんでしょうか。」と問われると、大友監督は「僕はスタッフ1人1人の力でキャストと。日本のサッカーも、プレイヤーの個人の力があれば、強くなったのと同じように、やっぱり映画も本当に集団芸術ですから集団作業ですし、本当に監督1人では何もできませんよ。言っちゃうと、そこにスタッフの知恵とね、能力が集まって、当然この規模の映画やるとなるといろいろな障害があるんですけど、その障害を乗り越えるところにもスタッフが知恵を尽くしてくれてると思うんです。細かい知恵を尽くして、その知恵が特に凝縮したなあと思います。あの衣裳 1枚取っても、当然スタントと主役と何枚か要りますし、同じ衣装だからあの役で 20着要るとその4倍ぐら要りますし、日本の草履もすべらない草履を開発したりですね、芝居とちょっと一緒に丈を変えたりいろんな技術をねやっぱり作りながらノウハウを蓄積してきたのかなという気がするんですよ。ですからそういう一つ一つが報われたと思います。」と語っていた。




『第 31 回 日本映画批評家大賞』受賞作品、受賞者一覧(順不同・敬称略)


作品賞:『偶然と想像』(濱口⻯介監督) 


主演男優賞:古田新太『空白』


主演女優賞:瀧内公美『由宇子の天秤』 


助演男優賞:鈴木亮平『燃えよ剣』『孤狼の血 LEVEL2』


助演女優賞:三浦透子『ドライブ・マイ・カー』


監督賞:大友啓史監督『るろうに剣心 最終章 THE FINAL』
『るろうに剣心 最終章 THE BEGINNING』 
ドキュメンタリー賞:『くじらびと』(石川梵監督)
アニメーション作品賞:『フラ・フラダンス』(水島精二総監督/綿田慎也監督) 
アニメーション監督賞:庵野秀明監督『シン・エヴァンゲリオン劇場版』
新人監督賞:穐山茉由監督『シノノメ色の週末』
新人監督賞:阪元裕吾監督『ベイビーわるきゅーれ』 
新人監督賞:藤元明緒監督『海辺の彼女たち』

新人男優賞(南俊子賞):佐藤緋美『ムーンライト・シャドウ』 
新人男優賞(南俊子賞):Fukase『キャラクター』

新人女優賞(小森和子賞):伊澤彩織『ベイビーわるきゅーれ』
新人女優賞(小森和子賞):石川瑠華『猿楽町で会いましょう』
新人女優賞(小森和子賞):伊藤万理華『サマーフィルムにのって』
新人女優賞(小森和子賞):⻄川洋子『いとみち』

脚本賞:⻄川美和『すばらしき世界』
編集賞(浦岡敬一賞):堀貴秀『JUNK HEAD』
撮影賞:上田義彦『椿の庭』



特別賞(松永武賞):小倉智昭 

ダイヤモンド大賞:富司純子『椿の庭』

ゴールデン・グローリー賞(水野晴郎賞):荒木一郎



『第31回日本映画批評家大賞』授賞式 公式サイト

(写真・記事 太田誠)



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