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ドキュメンタリー映画『失われた時の中で』ベトナム戦争後を生き抜いた人々の物語 予告編を解禁


【ニュース】
写真家だった夫の死をきっかけにカメラを手にベトナムへ向かい、およそ 20 年にわたってベトナムの枯葉剤被害者の現実を記録してきた坂田雅子監督によるドキュメンタリー映画『失われた時の中で』。公開に先立ち、予告編が完成した。また女優の岸恵子ら著名人からコメントも届いている。


愛する人を失い 戦争を知る
1960 年代初頭、ベトナム戦争下。アメリカ軍はベトナムに枯葉剤を散布しました。その影響はベトナムの人々だ けでなく、アメリカ人をはじめとしたベトナム帰還兵とその家族にも及んでいる。『失われた時の中で』の監督である坂田雅子の夫で写真家だったグレッグ・デイビスもその一人。1967 年から 1970 年の 3 年間、南ベトナ ムに駐留していたグレッグは、2003 年 4 月に胃の不調を訴え、入院。その2週間後に帰らぬ人となった。愛する夫との突然の別れ、その理由がベトナム戦争時の枯葉剤被害にあるのではないかと聞かされた雅子は、彼の身に起こったことを知りたい一心でカメラを手に撮りベトナムに向かう。当時、雅子は 55 歳。手探りで始まった映画 作りだった。



完成した予告編では、夫の死をきっかけに訪れたベトナムで坂田雅子監督が出会った様々な枯葉剤被害者の過去と現在の姿が映し出されている。1986 年に治療のために来日したベトちゃんドクちゃんのように、戦後 50 年を目前にしたベトナムでは今なお、枯葉剤の影響で重い障害を持った子どもたちが生まれている。





坂田監督が枯葉剤 被害の取材を始めてからまもなく 20 年。年齢を重ね、体力的にも精神的にも負担が増す中で、障害を抱えた子どもとの将来を悲観する両親。障害を抱えた家族をこれから支えていかなければいけない少女。障害がありながらも、自らの力で人生を切り拓き、自立して生活している若者たち。アメリカ政府と枯葉剤を製造した企業に対する裁判を起こした元ジャーナリスト。そして、夫の死後、映画監督として新たな人生を歩み始めた坂田雅子。予告編はそれぞれの人生を見つめ、枯葉剤によって失われた時の中を生き抜いてきた人々の姿を静かに描き出し、戦争が奪ったものと 奪えなかったものを明らかにしていく。



公開に先立ち女優の岸恵子や詩人の谷川俊太郎、歌手の加藤登紀子らから応援コメントが到着。


岸恵子(女優)
坂田雅子さんは素晴らしいお仕事をなさっている方として尊敬しております。 私自身ヴェトナムで見たことは胸に突き刺さっております。ドク君が一人生き残って、病院の廊下を微笑みながら杖にすがって歩いていた姿が忘れられません。 ヴェトナムの女性たちの、苦難のなかにも笑みを絶やさずにいる佇まいは、静かな、本物の強さを感じました。

谷川 俊太郎(詩人)
何度か胸がいっぱいになりました。 日常と次元の違う感動。 ファクトの持つ恐ろしい力を引き出すアートの繊細な力。

加藤登紀子(歌手)
どんなに分断の悲劇が続いても、それを繋げてきたのは、生きるためのひとりひとりの必死の努力。 生きているかぎり、私たちは希望です。

中村悟郎(フォトジャーナリスト)
「失われた時の中で」は坂田監督が力を振り絞って制作してきた枯葉剤糾弾ドキュメンタリーの第3作である。3作 品を貫くコンセプトは、ベトナム人の側、被害者の側に立ってこの非道を見つめたという点にある。それは、とりも なおさず「グレッグの無念を受け継ぐ」ことでもあった。ベトナムの被害者は今でも次々と死んでいる。そしてまた 新たな子どもたちが苦難を背負って誕生する。本作は戦争の不条理をするどく衝く。まさに今日の課題である。

大石芳野(写真家)
坂田雅子監督はベトナムからフランスへと枯葉剤の被がいにあった人たちにカメラを向け続ける。彼女の優しさも映 画から伝わってくる。18 年間をかけてベトナムの枯葉剤被害を取材し続けた監督の意思にも意志にも敬意を表する ばかりだ。世界中の私たちがベトナム戦争に無関係ではいられないだけに、問題を共有していかなければならない。

石川文洋(報道カメラマン)
枯葉剤という化学兵器の影響を受けたベトナムの人々の不幸を丁寧に取り上げた優れた作品であり、多くの人に見て もらって、戦争は犯罪であることを実感して欲しいと思った。枯葉剤はベトナムの多くの人生に影響している。私た ちが知っているのはほんの一部である。

渡辺一枝(作家)
今作の『失われた時の中で』によって坂田雅子監督は、長年追ってきた枯葉剤被害の問題を更に昇華させて、前2作 『花はどこへいった』『沈黙の春を生きて』と共に一編の壮大な叙事詩に完成させた。ほんの短いコマだが時に挿入 されるベトナム戦争時のフィルムや従軍体験者であった亡き夫グレッグ氏の写真や肉声が、本流である監督が取材し 撮影してきた映像に分かち難く添い、監督自身が語るナレーションによってあたかも三位一体となって、戦争の不条 理を強く静かに訴えかける。 終わりを予測できない戦争を目の当たりにしている今、この映画が持つ意味は大きい。多くの人の目に触れてほし いと願っている。

古田大輔(ジャーナリスト/メディアコラボ代表)
2022 年、私達は再び侵略と虐殺を目の当たりにし、核兵器や生物・化学兵器が使用されるのではないかという不安 にさらされている。第 2 次世界大戦から 80 年近く、ベトナム戦争から半世紀近くが経とうとしているが、私達はい まも戦争を止めることができない。
2011 年、新聞社の特派員だった私はベトナム中部ダナンを訪ねた。アメリカとの長年の交渉を経てようやく始まっ た枯れ葉剤の汚染除去を取材するためだった。被害を受けた人々の回復どころか汚染源の除去開始にすら、これだけ 時間がかかり、その間も被害は広がり続けた。それから 10 年。ベトナムの枯れ葉剤のニュースを目にすることは、 ほとんどなくなっている。現在、毎日目にしているウクライナの惨状すら、あと数年すれば、日常生活で見聞きする ことはほとんど無くなるだろう。 だからこそ、こういうドキュメンタリーが必要だ。決して忘れない。そこに暮らす人々の声を姿を現在と未来に残 す。そのような行為を無駄だと冷笑する人もいる。蛮行はやまず、人は変わらない、と。しかし、ベトナム戦争に従 軍した記者たちの報道が反戦デモを広げ、ウクライナから届く映像がロシアに対する厳しい制裁に繋がった。 「よりよく知ることによって、世界を変えることができる」。映画の中で語られるこの言葉は、理想主義に基づくも のではない。事実だ。

神田香織(講談師)
戦争が終わって歳月は経過しても被害に終わりはない、それが「戦争」だということを改めて思い知らされました。 20年前元気に被害者の子どもの面倒を見ていた親は今は年老いて途方に暮れています。枯れ葉剤被害者は今でも 次々に亡くなっており、そして未だに障害を背負った子どもが誕生しています。アメリカ政府と枯れ葉剤を製造した 企業は責任を取らず、補償は一切なし。ウクライナで戦争が始まってしまった今、万が一化学兵器が使用されたら ..。ベトナムとウクライナが重なります。 坂田雅子さんご自身による静かなナレーションは、戦争で理不尽な目にあわされた人々の声を代弁しているかのよう に心にしみます。

坂田雅子監督メッセージ
夫の死が枯葉剤のせいかもしれないと聞き、まさに藁にもすがるような気持ちで、枯葉剤について調べ、ドキュメン タリー映画を作ろうと思い立った時、私は 55 歳でした。何の経験もないところから始まった映画作りでした。 今回の『失われた時の中で』は枯葉剤をテーマにした3作目になります。続編を作ろうと意図していたわけではない のですが、ベトナムを訪れるたびに出会う被害者たちの声がこの映画を作らせたのです。 グレッグは彼の死によって、私に新しい生を与えてくれたのかもしれません。いくつかの小さなドキュメンタリーを 作ってわかったことは、小さな私にもできることがある。いや、組織に頼らない小さな私だからこそできることがあ る、ということです。 ベトナム帰還米兵の「戦争はいつまでも終わらない。だから始めてはいけないのだ」という言葉が響き続けます。戦 争や、国際政治など世界の大きな出来事の前につい立ちすくんでしまいますが、諦めずに一人一人がもち堪えるとこ ろに希望はあるのだと思います。


2022/日本/60 分/日本語・英語・ベトナム語・仏語/ドキュメンタリー
監督・撮影:坂田雅子/コーディネーター・仏語翻訳:飛幡祐規/サウンドデザイン:小川武/構成・編集: 大重 裕二/音楽:難波正司/宣伝・配給:リガード
©Joel Sackett
©2022 Masako Sakata
公式サイト
8月下旬 ポレポレ東中野ほか 全国順次ロードショー
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