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祝!ピエール・エテックス生誕日!作品別ビジュアル 4 種&著名人からの絶賛コメントが解禁!!
ジャック・タチ作品に大きな貢献を果たし、映画監督や俳優として活躍したフランスの才人ピエール・エテックスの特集上映『ピエール・エテックス レトロスペクティブ』する。長編 4 作品の個別ポスタービジュアルを解禁。著名人からコメントも到着。
イラストレーターとして活躍していた二十代半ばにジャック・タチと出会い、『ぼくの伯父さん』 (58)の助監督として映画界に参入したピエール・エテックス。ムッシュ・ユロを象徴する印象的なシルエットを生み出したポスターのイラストを描いたことでも有名だ。その後、タチを通じて知り合ったジャン=クロード・カリエールと共に映画制作を開始(カリエールは、その後ルイス・ブ ニュエル作品『ブルジョワジーの秘かな愉しみ』など数多くの作品を手掛ける名脚本家となる)。短編二作目『幸福な結婚記念日』で米アカデミー賞最優秀短編実写映画賞を受賞し、長編一作目『恋する男』がフランスで大ヒット、往年の喜劇を彷彿とさせる作品群は広く受け入れられた。
一方エテックスは俳優としてのキャリアも長く、ロベール・ブレッソン『スリ』から、アキ・カウリスマキ『ル・アーヴルの靴みがき』やオタール・イオセリアーニ『皆さま、ごきげんよう』など、晩年まで活躍している。
本特集では、ルイ・デリュック賞受賞作『恋する男』、トリュフォーが絶賛し、ゴダールがその年のベストテンに選出した代表作『ヨーヨー』、4 編のオムニバス・コメディ『健康でさえあれば』、中 年男性の恋と妄想を夢幻的に描く初のカラー長編『大恋愛』の長編4作品と、『破局』、アカ デミー賞受賞作『幸福な結婚記念日』、『絶好調』の短編3作品の計7作品がラインナッ プ。これらの作品は、フランスの権利問題が理由で長く劇場で上映されず、またソフト化もされていなかったもので、ジャン=リュック・ゴダー ルやレオス・カラックスなどの映画人を含む 5 万人以上の署名活動によって、2010 年に世界各国で再び上映することが可能となった。
そして解禁となった長編 4 作品の個別ビジュアルは、11 月 23 日に 94 回目を迎えるエテックスの生誕日を祝し、日本オリジナルで制作したもの。作品それぞれの世界観を根幹に据えながら、エテックスらしい遊び心にあふれたビジュアルとなっている。併せて、エテックスに魅了された著名人からのコメントも解禁。代表作といわれる『ヨーヨー』について、映画監督の大九明子氏は「全ての瞬間を遊び尽 くしているから、こちらも1フレームたりとも目が離せませんでした。」、イラストレーターの網中いづる氏は「「こんな美しい絵を描きたい」 と強く思えた最高の作品だった。」と寄せた。また、モデルの小谷実由氏は「ケラケラと笑っていたと思えば、うっとりため息が出てしまう。ピエール・エテックス、罪な男です。」と、その魅力を語っている。そのほか、ミュージシャンの真舘晴子氏、コラムニストの山崎まどか氏からコメントが到着している。
一つの映画でサイレントとトーキーを描き分けるとか!
これ思いついた時、さぞわくわくしたことでしょう。
ピエール・エテックスは全ての瞬間を遊び尽くしているから、
こちらも1フレームたりとも目が離せませんでした。
大九明子(映画監督)*『ヨーヨー』
クスクスと笑えるユニークな人物の描写や仕掛け、少し切なくノスタルジーに満ちた映像。
豪華な邸宅やサーカスなどどこで切り取ってもそのまま絵になる構図にうっとりする。
「こんな美しい絵を描きたい」と強く思えた最高の作品だった。
網中いづる(イラストレーター)*『ヨーヨー』
どんな人でもニヤリとしてしまいそうな瞬間が溢れるコミカルな世界。
でも、流れる時間はなんて優雅なのでしょう。
ケラケラと笑っていたと思えば、うっとりため息が出てしまう。
ピエール・エテックス、罪な男です。
小谷実由(モデル)
「手のつかい方」が素敵だ。
彼の身体の動き、映像の表現には人間の人生への愛がある。
もし私がそれに迷ったとき、ジャック・タチとピエール・エテックス、
二人のことを思い出すだろう。
真舘 晴子(ミュージシャン / The Wisely Brothers)
ボーラーハットの似合うエテックス、
まるでムッシュ・ユロのハンサムな甥っ子みたい。
彼が不器用に重ねる失敗がエレガントなドミノ倒しになっていく様子、永遠に見ていられる。
山崎まどか(コラムニスト)
「ピエール・エテックス レトロスペクティブ」は、12 月 24 日から渋谷のシアター・イメージフォーラムにて、順次全国の劇場でも開催される。
上映作品(長編 4 作品、短編 3 作品=計 7 作品/全 4 プログラム)
『恋する男 LE SOUPIRANT』
監督・脚本・主演:ピエール・エテックス 脚本:ジャン=クロード・カリエール
1962 年/ フランス / モノクロ / ヨーロッパ・ヴィスタ / モノラル / 84 分 / 字幕:井村千瑞 © 1962 – CAPAC 1962 年 ルイ・デリュック賞受賞 ※日本初公開時の邦題:『女はコワイです』
天文学の研究に没頭してばかりの不器用な三十男。ある日両親に結婚を命じられ、伴侶となる女性を探しに街に繰り 出すが、トホホな出来事の連続。しまいには、テレビに映るスーパースターの歌手・ステラに心を奪われてしまい、なんとか して彼女と結婚するために奔走する...。エテックス×カリエールの記念すべき初長編映画。フランス本国で大ヒットし、喜劇映画ではジャック・タチの『ぼくの伯父さんの休暇』以来となるルイ・デリュック賞を受賞。
『ヨーヨー YOYO』
監督・脚本・主演:ピエール・エテックス 脚本:ジャン=クロード・カリエール
1964 年/ フランス / モノクロ / ヨーロッパ・ヴィスタ / モノラル / 98 分 / 字幕:神谷直希 © 1965 - CAPAC
1965 年 カンヌ国際映画祭 青少年向最優秀映画賞 受賞 / ヴェネチア国際映画祭 国際カトリック映画事務局賞 受賞
世界恐慌で破産した大富豪は、サーカス団の女性曲馬師と、彼女との間にかつてもうけた幼い息子とともに、地方巡業 で暮らしを立てることに。やがてサーカス界で成功をおさめた息子はヨーヨーという人気クラウンになる。時代が大きく変わる中、ヨーヨーはかつて父が所有していた城を取り戻そうと躍起になるが...。愛するサイレント喜劇と、幼い頃から憧れたサーカスへのオマージュに溢れた代表作。トリュフォーが絶賛し、ゴダールがその年のベストテンに選出した。
『健康でさえあれば TANT QU’ON A LA SANTÉ』
監督・脚本・主演:ピエール・エテックス 脚本:ジャン=クロード・カリエール
1965 年/ フランス / パートカラー / ヨーロッパ・ヴィスタ / モノラル / 67 分 / 字幕:横井和子 © 1973 - CAPAC – Les Films de la Colombe 1966 年 サン・セバスチャン国際映画祭 シルバー・シェル賞受賞
なかなか寝付けない男の一夜を描いた<不眠症>、映画館にいたはずが、幕間に流れる CM のおかしな世界へ入
り込んでしまう<シネマトグラフ>、近代化が進む都市で人々が受ける弊害をシュールに描いた<健康でさえあれば >、都会の夫婦・下手くそハンター・偏屈な農夫が織りなす田園バーレスク<もう森へなんか行かない>の 4 編からなるオムニバス・コメディ。1966 年 にフランスで公開されたが、71 年にエテックス自身によって再編集が施され、現バージョンに生まれ変わった。
『大恋愛 LE GRAND AMOUR』
監督・脚本・主演:ピエール・エテックス 脚本:ジャン=クロード・カリエール
1969年 / フランス / カラー / ヨーロッパ・ヴィスタ / モノラル / 87分 / 字幕:寺尾次郎 © 1968 - CAPAC 1969 年 フランスシネマ大賞 受賞 / 1969 年 カンヌ国際映画祭 国際カトリック映画事務局賞受賞
工場を営む実業家の一人娘と結婚した男。義父から仕事を任され、夫婦仲も良好ながら、どこか満たされない退屈 な日々を送っていた。そんなある日、若く美しい秘書が現れ、どうしようもなく惹かれてしまい...。愉快な遊び心と想像 力に溢れた初のカラー長編。妄想がエスカレートした男の夢に現れる、いくつものベッドがまるで車のように道を走るシ
ーンは本作の白眉の一つだろう。ブニュエル並みにブルジョワジーを批判しながら、夢幻的な喜劇に仕上げているのも特徴だ。
『破局 RUPTURE』
監督・脚本:ピエール・エテックス、ジャン=クロード・カリエール
1961年 / フランス / モノクロ / スタンダード / モノラル / 12分 / 字幕:横井和子 © 1961 – CAPAC
恋人から手紙を受け取った男。中には破かれた自分の写真が同封されていた!こちらも負けじと別れの手紙を書こうと奮 闘するが、万年筆、インク、便箋、切手、デスク...なぜか翻弄されてどうしても返事を書くことができない。ジャック・タチの縁で出会ったエテックス×カリエールによる初の短編作。セリフがなく、音を使ったギャグが冴える秀作。
『幸福な結婚記念日 HEUREUX ANNIVERSAIRE』
監督・脚本:ピエール・エテックス、ジャン=クロード・カリエール
1962年 / フランス / モノクロ / スタンダード / モノラル / 13分 / 字幕:井村千瑞 © 1961 – CAPAC 1963 年 アカデミー賞 最優秀短編実写映画賞 / 1964 年 英国アカデミー賞 最優秀短編映画賞受賞
ある夫婦の結婚記念日。妻の用意するディナーに間に合うよう、プレゼントやワインを買い込み家路を急ぐ夫。しかし、パ リの交通渋滞やその他の問題に巻き込まれ一向に辿り着けない。果たして、幸せな記念日にすることができるのか?当 たり前のことがどんどん遅延することによって笑いを誘うエテックス×カリエールならではの喜劇の傑作。
『絶好調 EN PLEINE FORME』
監督・脚本・主演:ピエール・エテックス 脚本:ジャン=クロード・カリエール
2010 年 / フランス/ モノクロ / ヨーロッパ・ヴィスタ / モノラル / 14 分 / 字幕:横井和子 © 1971 – CAPAC
田舎でソロキャンプをする青年。しかし、警官に管理の行き届いたキャンプ場に行くように言われてしまう。そこは有刺鉄線 で囲われた、まるで強制収容所(キャンプ)で...。当初は『健康でさえあれば』(65)の一部を成していたが、71 年の再編 集で外された。2010 年にデジタル修復された際に、ほかの作品とともに公開され、短編として生まれ変わった。
配給:ザジフィルムズ
協力:シネマクガフィン
12/24(土)より、シアター・イメージフォーラムほか全国順次開催