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映画『オジさん、劇団始めました。』主演 渡辺いっけい×監督 山本浩貴オフィシャル対談

【ニュース】
夢を追いかけ続ける 2 人が通じ合う”劇団あるある”とは!? 
主演 渡辺いっけい×監督 山本浩貴オフィシャル対談が到着

8月18日の公開を直前に控える映画『オジさん、劇団始めました。』主演の浅井拓巳(あさい・たくみ)を演じた渡辺いっけいと、本作の舞台版の脚本・演出を担い、今回の映画版でも監督を務めた、山本浩貴に話を聞いた。

――主宰されている『劇団プープージュース』で上演された舞台「オジさん、劇団始めました。」を、今回映画化された理由は?
監督コロナ禍によって、“演劇があたりまえにてきるものてはないこと”を実感するなか、「自分たちが情熱をかけてやってきた事を映像化したい」と、劇団のみんなと話し合い、20 年 10 月に上演した舞台「オジさ ん、劇団始めました。」を映画化しようと決めました。劇団そのものがテーマというところもありますし、舞台公演中に体調不良者が出たことで、2日ほど公演を中止した作品でもありました。

渡辺 それは大変でしたね。僕も出演予定の舞台がコロナによって、劇場入りの日に全公演中止になってしまったんです。僕以外は新人の子たちが多かったこともあり、それがあまりに強烈な体験になってしまい、その後はマネージャーを通じて、先が見えない舞台のオファーをお断りさせてもらっていたんです。それで映像の仕事を中心にやっていたときに、この映画のオファーをいただきました。脚本が面白いだけでなく、大手の作品 とは違うインディーズ映画の面白さに気づき始めていたこともあり、引き受けさせてもらいました。

――山本監督が主人公・浅野役を渡辺さんにオファーされた理由は?
監督 渡辺さんのことは、昔から TV や映画を観ていて大好きな役者さんでしたし、舞台を見に行った時、渡辺さんから感じた熱量と躍動感は凄まじいものがありました。その姿が脳裏に焼き付いていて、「いつかご一緒させていただきたい!」という強い気持ちがありました。そして今回、浅野拓巳という役を考えた時に、真っ先にお願いしたいと思ったのが渡辺さんでした。

――浅野を演じる渡辺さんの役作りについて教えてください。
渡辺 「舞台版を収録した映像を事前にご覧になりますか?」と言われましたが、観るとそこに引っ張られそうな気がしたので、あえてお断りしたことを覚えてします。舞台の再演でも、前の公演の映像は観ないようにしています。ただ、実在する人を演じるような作品だと、率先して、その方に会わせてもらいますね。演じるうえで、大きなヒントになりますから。現場で監督も、「舞台のときはこうだった」といったことは仰らなかったですし、作品がゼロから作られていることが分かりました。とてもやりやすかったです。
   
監督 台本を読んだ役者さんが持たれるイメージで演じてもらうのがいちばんですし、僕が予想していないものが絶対的に面白いと思っていますから。役者さんが変わって再演するときも、一から新しいものを作る気持ちでやらないと上手くいかないと思うんです。今回は映像化なので、さらに全部フラットにして、みんなで新しい作品を作る気持ちでやりました。



渡辺 僕はセリフだけ頭に入れて、現場に行って、その場で感じたものを大切にするタイプの役者なんです。相手方のセリフや芝居で変わっていくともいえるんですが、今回の浅 野役は、劇団員のみなさんに翻弄され、影響を受けて変わっていく役でもあるので、事前には特に用意しませんでしたね。ただ、自分は劇団をいくつか経験しているので、台本に書かれている劇団が抱える問題や諸事情がよく分かるんです。分かりすぎてもよくないし、その塩梅が難しくて、役から離れて客観的に見る作業はしました。たとえば、「演劇」「劇団」といった言い慣れた言葉をセリフとして発する ときの感覚など、今までやったことのない役だと思わせてくれました し、難しいと同時に面白い役だなと。劇団の人たちって、客観的に見ると、変な人たちばかりですよね(笑)。

監督 そうなんですよ(笑)。


――撮影中の印象的なエピソードは?
監督 現場では渡辺さんがいろんなアイデアを出してくださいました。買い物袋に入ったネギを持ってくださったり、楽屋にあったシャンプーハットだったり、食卓で広げる新聞だったり、その場にあるものや雰囲気を巧く使われていて、とても有難かったです。

渡辺 「ホップ、ステップ、キャンプ!」とつまらないギャグを言って、娘にドン引きされるシーンも、具体的なギャグが台本に書いてなかったので、僕が考えたんです。でも、監督が「それで行きましょう!」と言っ てくれたときは、「採用されちゃったぁ」という気持ちでした(笑)。

監督 僕も一応、いろいろと考えていたのですが、渡辺さんが考えられてきたのが、いちばん面白かったんですよ!

――『忠臣蔵』を題材にした舞台上でのクライマックスに関しては?
渡辺 あそこに関しては、台本を読んだときから、自分でもどうしたらいいのか分からなかったし、実際にやってみないと分からないので、現場で監督に委ねるしかないなと思いましたね。

監督 浅野が自分の気持ちを伝えているときの渡辺さんのお芝居は、僕も含め、周りの人もみんな感動していました。正直、泣けました。

渡辺 簡単な言葉で言うと、エチュードですかね。世の中には、いろんなタイプの映画監督がいると思うんですが、山本監督は事細かなことを言うわけではなく、役者さんから出てくる面白いことを、自分の中でアレンジして作っていくタイプ。しかも、やらせっ放しじゃない。その結果、どの役者さんの個性もしっかり引き出していたと思います。

監督 めちゃくちゃ嬉しいです。僕の仕事は現場に行って、役者さんの遊び場じゃないですが、ある程度の枠組みを作ることだと思っていますし、「その場で楽しめるか?」「感動できるか?」「心が動くか?」が重要なんです。それがモノづくりの快楽だと思います。

渡辺 劇団員のちょっとした小競り合いのシーンとか、こだわって何度も撮られていて、そういうさりげないところも凄くいいなぁと思いましたよ。予算がないなか、どのようにするか?という手作り感も良かったですし、「これがインディーズ映画だよな」と思いました。




――具体的には、どのような手作り感でしょうか?
監督 劇団員でロケ地探したり、小道具作ったり、あと浅野の家も劇団のメンバーの自宅なんです。

渡辺 そういうことによって、作品に血肉が通っているというか、その面白さが皮膚感覚で分かるんですよ。やはり、自分も劇団出身というのが大きいのかもしれないけれど(笑)。

――長年、劇団・舞台をやられてきたお二人から見て、舞台や劇団の魅力とは?
監督 劇団はお金にならないことが多いので、みんなバイトをするんです。実際、それが大変で辞めていった仲間も多いですし、決してキラキラした部分だけではないことを、この映画で描きたかったんです。やべきょ うすけさんが演じた虎山のセリフに「劇団のために、俺も明日からバイトするわ」というのがあるんですが、そのシーンを撮り終えた後に、やべさんが「渡辺さんが“このセリフ、胸に来るよね?”と言っていたよ」と教えてくださり、ものすごく嬉しかったです。

渡辺 終始面白かったのがやべさんで、ボケていたのが中野くん(笑)。劇団は本当にお金がないんですが、 団員みんな同じ状況だから、それが辛いことだと思わなかったですね。一般社会の人から見ると、完全にアウ トローだけど、当の本人たちは劣等感みたいなものを一切感じない。普通に考えると、ちょっと危ないけど、 怖いもの知らずだったことを思い出しました。僕が『状況劇場』にいた頃、何の迷いもなく、深夜の歌舞伎町 の街を歩けましたから。今ではそんなこと、怖くてできないです(笑)。

監督 どこか当たり前になっちゃうんですよね。この映画を撮った理由には、仲間と好きなことをやっていたら、気づいたら 40 歳を過ぎていたということもあるんです。そして、コロナ禍もあり、改めて劇団を始めた頃 の熱量を持たないと、ダメなんじゃないか?と思ったんです。それで、新人として、浅野というオジさんが入 ってきたことで、いろんな刺激を与えてもらう姿も描きました。

――浅野のように、畑違いのところから「役者になりたい」というオジさんが現れた場合、舞台に立てるのでしょうか?
監督 劇団を旗揚げして、数年間は「出たい!」というお客さんがいたら、「じゃあ、明日出る?」と、舞台 に立ってもらっていたんです。70 歳を過ぎた方など、ちょっとした通行人とかで(笑)。そこから劇団員になった人は、さすがにいないですが、楽しいことも、辛いこともあるので、それでも続けられるモチベーションは大事と思います。そこで、何が何でもやりたい気持ちが分かれば、僕も応援してあげたいです。この業界のすごいところって、続けていれば、やりたいことができるし、会いたい人に会えるところですから。


――ちなみに監督と渡辺さん、お二人が芝居を続けてきたことで、夢を叶えたエピソードは?
監督 若いときは売れたいとか、劇団を大きくしたいという、結果ばかり追い求めていましたが、やればやる ほど、どういう過程で作ってきたか、作るときの思い出が大事になってくると思うんです。それによって、今 回の映画にも繋がったと思うんですが、10 年前は自分が映画を監督するなんて、しかも渡辺さんとご一緒でき るなんて思いもしませんでした。なんだか不思議な感じですし、強烈に濃い 2 週間を送らせていただきまし

渡辺 僕にとって憧れの存在は、『状況劇場』のかなり上の先輩にあたる小林薫さんでした。若い頃、一度道ですれ違ったことがあって、何も声をかけられなかったのですが、そこからずいぶん経って、TV ドラマで初めてご一緒することになったんです。そのとき、薫さんから「『状況劇場』だったんだって?」と声をかけてくださって、とにかく嬉しかったんです。それで、その仕事終わりに家に帰る道で、薫さんに声をかけられなかった過去を思い出して、急に涙腺が崩壊しま した。ほかの人には分からないかもしれないけれど、自分の中で悶々としていた何かが浄化されるときが、たまにあるんです。それは、どんなに大変でも、この仕事を続けてきたからこそだと思うんです。



――本作は年齢を重ねながらも、夢を追いかけた主人公の話ですが、近年渡辺さんが挑戦されたことは?
渡辺 歌に全然自信がなかったこともあり、これまでミュージカルに出たことがなかったんです。『劇団☆新 感線』に所属していたときも一度軽く歌った程度でしたが、そんな僕に『てなもんや三文オペラ』の出演依頼が来たんです。勝手に歌わない芝居だと思い込んで、出演を引き受けたら、この映画の撮影中に歌の音源が届いて、真っ青になったんです(笑)。今さら断れない状況のなか、「これはチャレンジだ!」と腹をくくりました。でも、60 歳手前にして、ソロ歌唱もあって、とても怖かったですが、上手い下手でなく、気持ちを伝える意味で、すごく頑張りました。今となっては、やって良かったと思います。特に舞台は生で晒すので、それがいいんです。そして、すべてをさらけ出す覚悟は、役者として生きていくことに必要だと思いました。

――最後に、監督からメッセージをお願いします。
監督 夢は若い人が追いかけるものだと思いがちですが、この映画ではいくつになっても追いかけることがで きるということを描きました。コロナ禍という悲しいことがあるなか、少しでもポジティブになれるという か、新たな一歩を踏み出せるような作品になりました。また、劇団というと、一般の方には馴染が薄かった り、あまり内情を知らない存在かと思いますが、この作品を通じて、少しでも身近に感じてもらえれば、嬉しいですし、劇場に足を運ぶきっかけになってくれたら、さらに嬉しいです。

取材/くれい響



渡辺いっけい(わたなべ・いっけい)
1962 年 10 月 27 日生まれ。愛知県出身。
1992 年 NHK 連続テレビ小説「ひらり」にて人気を博して以降、数々の作品に出演し、名 バイプレーヤーとして活躍。若い世代にも「ガリレオ」シリーズでの福山雅治演じる湯川学の助手役として馴染みが深い。映画では 2018 年「いつくしみふかき」にて初主演。人気アニメシリーズ「おしりたんてい」では声優も務めるなど、活動の幅は今も広がり続けている。大阪芸術大学在学中の劇団☆新感線への参加や、卒業後に唐十郎を主宰とする状況劇場 へ入団など、劇団とも関わりが深い。



山本浩貴(やまもと・こうき)
1977 年 4 月 15 日生まれ。東京都出身。 劇団プープージュースの主宰として、本作を含め全ての公演の脚本・演出を担当。映画監督 作に『サムライダッシュ』(12)、『女子高』(16)などがある。また、NHK 大河ドラマ「麒麟がくる」(20)に出演するなど、役者としても活動している。


渡辺いっけい
やべきょうすけ 文音 田邊和也 中野マサアキ 久米伸明 西山咲子 窪塚俊介
葵揚 搗宮姫奈 犬飼直紀 磯原杏華 廣岡聖 高橋孝輔 伊藤桃香 三澤優衣 / 宮田早苗
監督・脚本:山本浩貴
企画・制作:劇団プープージュース プロデューサー:山本浩貴 木滝和幸 長田安正 撮影監督:吉沢和晃 録音:豊田真一 音楽:茂野雅道 衣装:扇野涼子 ヘアメイク:難波みゆき 制作担当:江尻健司 助監督:江良圭 編集:遠藤一平 伊藤拓也 キャスティング:伊藤尚哉 製作:リッチーフィルム 制作協力:マグネタイズ 
宣伝・配給:ユナイテッドエンタテインメント 
©︎2022 リッチーフィルム 文化庁「ARTS for the future!」補助対象事業
8月18日(金)より池袋シネマ・ロサほかにて本公開

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