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映画『静かに燃えて』映画を愛し、映画にまみれて生き、自らの映画を作り上げ急逝した小林豊規監督の遺作 3月公開決定

【ニュース】
中学生で初めて8mmフィルムで劇映画を作り、50 年間映画
を撮り続けて 2023 年 10 月、64 歳で長編映画を製作・監督としてデビュー。しかし、初公開からひと月半後に急逝。そんな映画のような人生を送った小林豊規監督のデビュー作にして遺作。長編映画『静かに燃えて』3 月 30 日(土)より池袋シネマ・ロサにて公開が決定した。

本作はカルチャースクールの油絵講師・容子は、下宿先であったテラスハウス(連棟式住宅)の大家が亡くなったことをきっかけに大家の孫・由佳里と出会い、彼女と同居することになる。容子は由佳里に特別な感情を抱くが、平穏な生活を続けるため、あくまで女友達を演じ続けるのだった。そんな容子のもとに大学時代の男友達・佐野が訪ねてくると、由佳里は次第に佐野にひかれていく。同じテラスハウスに大学生の柊子と悠輝の姉弟が引っ越してくる。やがて悠輝が不審な行動をとりはじめ、柊子は弟が隣に住む女性にストーカーまがいの行為をしていることをつきとめるが……。テラスハウスに住む2組の住人たちの「告白できない思い」が不思議に交差しながら、物語は意外すぎる方向に転がっていく。

小林豊規監督のデビュー作が、池袋シネマ・ロサで3月30日から公開される。小林監督は「噛んでもみきれない味わい深さ」などと多くの評価を得た。映画を愛し、映画にまみれて生き、自らの映画を作り上げた途端亡くなった。









その他、トークショーと初公開の貴重なフィルム、スピンオフ・コミックも。

池袋シネマ・ロサでの公開中、トークショーを開催
本作に熱い声援を送る犬童一心監督が自ら司会を買って出て、様々なゲストを招いたトークショーが期間中、三日間(初日、三日目 五日目の予定)行われる。映画の出演者やこの映画のファンを自称する映画監督脚本家・俳優などがゲストとして登壇し、監督の映画愛や人となり、そして作品の魅力について語り尽くす。三日間の登壇者と日程は現在調整中。



同時上映として、小林豊規監督が、1973 年、中学2年の時に自主制作した8mm映画「山小屋生活」を上映。わずか14歳で監督脚本撮影編集、特殊効果までこなした幻の作品を今回発掘し、特別上映します。8mm映画がDCPの劇場で見られるのは実に貴重な体験です。


「焔の棺」などの漫画家・よしゆき氏による、劇場パンフレットに掲載のスピンオフ・コミックのキャラクターたち

劇場パンフレットには、映画の後日談を描いたオリジナルのスピンオフ・コミック( 「焔の棺」のよしゆき作)を掲載。その他にも様々なグッズを販売する。


監督/脚本/編集/プロデュース:小林豊規(こばやしとよのり)

1959 年東京銀座生まれ 本名小林 一。日比谷の映画館街から徒歩3分の銀座コリドー街で生まれ育つ。中学2年の時にリバイバル上映された黒澤明の「生きる」を観て衝撃を受け、中学生にして8mmフィルムで劇映画を監督制作する。その後、東京造形大学時代に撮った「マルボロの香り」がʼ82年度富士8ミリコンテストで学生優秀賞を受賞。
大学卒業後、CMプロダクション等を経て、96年、株式会社オフィス101を立ち上げ、TV番組やプロモーション映像、CM等映像作品の演出を続けた。2023年12 月急逝。

主な作品歴
「赤すいか黄すいか」(81)犬童一心監督 撮影
「ゆめこの大冒険」(87)筒井武文監督 撮影
「稲川淳二の恐怖物語」(97/読売テレビ) 監督
「存在」(02/ C S ミステリーチャンネル) 監督

出演

とみやまあゆみ (田村容子役)
ACALINO TOKYO 所属。演劇ユニット鵺的メンバー。主な出演作に、『知らないのは主役だけ』(23/
カンテレ・フジテレビ系)、土曜ドラマ『やさしい猫』(23/NHK)、大河ドラマ『鎌倉殿の13人』
(22/NHK)、映画『エッシャー通りの赤いポスト』(21)、映画『漫画誕生』(19)など。 とみやまは、2018 年に「静かに燃えて」のオーディションに参加したところ、監督の小林は偶然にもとみやまが以前出演した短編映画を観ており、その個性豊かな演技が強く印象に残っていたため主演が決定。

笛木陽子 (須藤由佳里役)
スペイン系フィリピンハーフ。 2017 年に雑誌ViVi 出演権オーディションにてグランプリを獲得。 そこから約5年間、 公式インフルエンサーを務め、 メイクページなどで活動。 2020年には ミスジャパンコンテストにミス群馬として出場し、日本大会では第3 位を受賞。 現在は、洗顔「SHIKARI」のイメージモデルなど美容広告を中心に活動し、雑誌ゼクシィベビーではママモデルとしても活動している。 映画出演作には本作の撮影後に出演した 「不器用な彼女」(19)があり、先に公開されている

原田里佳子 (村上柊子役)
〈映画代表作〉『劇場版 ほんとうにあった怖い話プレミアム 呪いの動画』(12)、『SHELL and
JOINT』(19)。香川県出身。大林宣彦監督作品『海辺の映画館~キネマの玉手箱』(19)で讃岐弁指
導も行う。

蒔苗勇亮 (村上悠輝役)
声優タレント。村上悠輝役のキャスティングは難航したが、蒔苗をよく知るスタッフの薦めで起用され、ストーカー行為をする柊子の弟悠輝を見事に演じた。映像出演作品としては『カメ止め』のヒロイン秋山ゆずきが出演した『隠し戯~かくしごと~』(19)などがある。

金剛地武志 (催眠術師 剱持要役)
音楽バンド 「yes,mama ok?」 のリーダーで、作詞、作曲、アレンジ、演奏、ボーカル、ミックスなどの担当。TVのバラエティ番組、ラジオ、映画と多方面で活躍。 俳優としてはテレビドラマの出演が多く、特に人気のあったケータイ刑事銭形シリーズではレギュラーの柴田太郎役を好演。最近ではNHK朝ドラ「らんまん」(23)で浜辺美波と共演した。 本作では出演の他に音楽も担当している。

田口夏帆 (相田菜摘役)
〈映画代表作〉『東京シャッターガール』(13)湊澄恋役、『アイドル7×7 監督 Vol.2 傷女子』(14)主演、『ラウンドアバウト』(20)主演、 『ビーンズ・ラブ』(20)ヒロイン、 『浮気なアステリズム』(21)ヒロイン、『ウィーアーデッド』(22)主演、『ドランク・オブ・ザデッド』(今後公開予定

真山亜子 友情出演 (絵画教室生徒 大野役)
俳優、語り、声優。洋画吹替えの主な作品に『E.T.』2代目E.T.、『スタンド・バイ・ミー』テディ。アニメでは『ちびまる子ちゃん』杉山くん、『ワンピース』ココロ・ニョン婆、「忍たま乱太郎」乱太郎の母、など数多くの声を担当。また筈見純氏に師事し、語り・朗読家として山本周五郎作品の他、夢乃玉堂作「比丘尼の告白」、安井ひろみ作「葛飾北斎の娘 お栄の問わず語り」等の書き下ろし作品で公演を行っている。本作が顔出しでの初めての映画出演作。


コメント

映画監督 犬童一心さん(「ジョゼと虎と魚たち」「のぼうの城」ほか)
「噛んでも噛みきれない味わい深さ」この監督、女性が女性に少しずつ惹かれ、身悶えていく様を慌てず騒がず舐めるように見つめている。どこか、監督個人の性癖がじっとりと滲むようだ。ヒッチコックがサスペンス映画だと言い張って、金髪美女をいじめ抜いて身も心も真っ赤に燃えているのが隠しきれていない状態を思い出す。監督は初長編なのに64歳。まさに谷崎潤一郎的な味わいとも言える。やっと60歳を越え初長編を撮ったら、性癖がダダ漏れだわ、一体昭和何年だみたいな世界。困ったやつだが、その正直さ故に噛んでも噛みきれない味わい深き世界を生み出した。が、小林はもいういない。急死した。半世紀に渡って映画と戯れ、やっと花開いたら、開きっぱなしで公開も途中なのに忽然と消えてしまった。次回作が楽しみだ、なんて、もうそんなこと言っても詮無いんだな。サヨウナラ。

藤田朋子さん・俳優
「良かった。面白かった。彼女(とみやまあゆみさん)は本当に、言葉が真実に聞こえる。そして、作品ごとに、色も変わる。彼女と共演して、そして、その後、彼女の作品に触れて来てそう感じます。共演した映画(『エッシャー通りの赤いポスト』)でも、監督が、とみやまさんを他の人とは違って見ていたのを思い出します。なんの先入観もなく観て良かったなぁと思いました。とみやまさん演じる絵画教室の先生、容子の喫煙姿と、何気ない会話の時にキチンと「初めて聞く」表情。同居する女性の笛木陽子さん演じる由佳里の、大きな瞳と美しい姿体。そして、容子の大学時代の友人役の榛原亮さんの、無表情からの緩む笑顔。私の好きポイントでした。
※公式ブログより引用。カッコ内は
編集部による注釈

山口由里子さん・声優( 「ワンピース」ニコロビン ほか)
いい映画だと思いました。主人公の容子ちゃんの存在感も大きいけれど、役者さん皆さんの佇まいや表情、背景、全ての描写が繊細でとても好きです。

池野みのりさん・脚本家( 「ちびまる子ちゃん」「しばわんこの和のこころ」ほか)
『静かに燃えて』のタイトルに納得。セリフがなくても伝わる丁寧な映像表現が心地よかった。

坂本俊夫さん 作家 著書「おてんとうさんに申し訳ない 菅原文太伝」ほか
ラスハウスに同居する二人の女性の関係がどう発展していくのか、何となく予想できた。しかし、もう一組の住人である姉と弟がこの二人とどうかかわってくるのか、なかなか観客に教えてくれない。
また、あれっと思うような「小道具」が時たま現れ、見る者を惑わせる。どうしてだろう、何の意味だろうと、次のシーンを期待しつつ、主人公の恋心を軸に静かに進む映像を追いかける。そして、それらが終盤に氷解する。ミステリーを読むような気分で楽しめた作品でした。

筒井武文さん 映画監督/東京藝術大学大学院映像研究科教授
映画史には、素晴らしい処女作を発見した途端、その映画作家の新作を観ることが叶わないことに失望とも怒りとも収まりのつかない感情に駆られることがある。とりわけ、その作家が困難な製作条件を乗り越えて完成させ、しかも年齢が還暦を過ぎていて、創作欲が一層の高まりを示した時期に本人にも分からない理由で去ってしまうという例は前代未聞だろう。若々しく、かつ老成した、タイトル同様の矛盾した印象を受けるその作品を一刻も早く発見することこそ、映画の可能性を信じる者の態度であり、彼と映画へのなによりの供養となるだろう。



出演
とみやまあゆみ 笛木陽子 原田里佳子 蒔苗勇亮 村上柊子 村上悠輝 金剛地武志 田口夏帆 真山亜子
(友情出演)ほか
スタッフ
プロデューサー/監督/脚本/編集 小林豊規
撮影:中井正義/高畑洋平/細澤恭悟 照明:磯貝幸男 録音:山谷明彦 美術:野中茂樹 絵画:蔵野春
生 絵画制作:小林芳雄 衣裳:山本祐行/生井ゆみ ヘアメイク: 藤枝純子 グレーディング・EED:白
石悟 音楽:金剛地武志 ミキサー:岩波昌志 音響効果:斎藤みどり シンセサイザーPG:宮澤謙 監
督補:住岡由統 制作進行:長田浩一 脚本協力:小林富美 制作協力:岩橋修平
制作/配給 株式会社オフィス101 2022 年 / 日本 / DCP / 5.1ch / 89 分
・上映作品 『静かに燃えて』同時上映『山小屋生活(1973 年)』
・上映劇場 池袋シネマ・ロサ
・上映期間 3.30(土)-4.5(金) 一週間限定レイトショー
・チケット情報
前売り券(均一):1300 円(税込)
当日券(均一):1500 円(税込)
お問い合わせ先
オフィス101 E-mail: maruho2355@gmail.com

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